三歳の節目
喃語から始まった語音の習得に続いて、爆発的な語の習得(量的変化)、文の生成へと続く一連のことばの発達(質的変化)は、子どもがシンボルの世界に足を踏み込んだことを示します。
始めは≪物対ことば≫の対応でしかなかったものが、次第に時間的空間的制約を超えて般化され、シンボルの要素を濃くしていきます。 この大きな変化が三歳の節目です。
この壁は子供に取ってかなり大きなもので、発達の遅れを持った子供の前に立ちふさがります。
九歳の節目
二次言語の特徴は、対象の変化です。小さいときは自分の体験の周辺でことばを使っていますが、この段階に入ると、抽象化された聞き手を対象として話をすることが出来るようになります。
作文が書けるようになるのはそうした成長の証しです。
音声を心象に結びつける「言語化」が進み、≪過去の経験を追想すること≫や、≪まだ経験したことのないものを想像する≫ことが出来るようになり、素晴らしい≪観念≫の世界を構築していきます。
『外言』と『内言』
しゃべり始めの子供は、なんでも一度音声で表し、自分の耳で聴いて納得します。
このように音声化された言語を「外言」といいます。
一方頭の中だけで操作する言語(信号が対象から離れて、象徴として使われたもの)を「内言」といいます。内言によって思考を組み立てることが出来るのです。
前言語段階の子供の世界・未開人の前論理思考は共に意識が極めて不完全。
【精霊崇拝・トーテム崇拝・夢の実現・同時に二か所で存在可能という思考・昨日と明日を区別できない事等】・・哲学以前の思考形態・・
そのようなものはいまだに現代人の脳からも消え去っていません。
【参考資料 岡本夏生著 ことばと発達 岩波新書】