遺伝子の働きと環境

 

遺伝子の働き

 赤ちゃんが言葉(母国語)を獲得していくプロセスは、赤ちゃんの中に、巧妙にプログラムされています。    

 赤ちゃんは、はじめどんな国語音にも反応を示しますが、次第に聞きなれた母国語の音に特別な注目を示すようになるといわれます。    

 簡単な音声の模倣から始まり、音声を心象と結びつけて、生活のあらゆるものを言語化し相手の気持ちをくみ取り、自分の気持ちを伝える術を身に着けていきます。

  

環境の大切さ

  ・・愛されているという「安心感」と、「暖かい言葉かけ」・・

 ことばの獲得に欠かせないのは、愛されているという「安心感」と、「暖かい言葉かけ」です。どちらが欠けても順調なことばの獲得は得られません。

 音声を心象に結びつける「言語化」が進み、≪過去の経験を追想すること≫や、≪まだ経験したことのないものを想像する≫ことが出来るようになり、素晴らしい≪観念≫の世界を構築していきます。

 周りの大人たちがどのようなことばをかけ、どのように受けてやるかでその子供の言語能力に大きな差が生まれるといわれます。

   

ちなみに・・

 チンパンジー

  チンパンジーはかなり高度な知能を有していて、人間の3歳児程度の能力があるといわれます。

 ただ、語音の生成に関係のある喉頭の作りがヒトの成人とかなり違っています。

面白いことに、ヒトの新生児は喉頭や口腔の仕組みが成人と大きく異なっていて、むしろチンパンジーに近いといわれます。  ヒトの場合、生後3か月くらいの時期に喉頭や口腔に大きな変化が現れ、言語音の発声の仕組みが整ってきます。 まさに子供の成長の過程というのは、ヒトの進化の道筋を辿っているものなのでしょう。

 

 

オウムや九官鳥

  物まね上手な鳥たちと人間の構音の仕組みは全く違うものです。あたかも『意味が分かっているように話す』といっても、彼らは、音の分解・構成の能力を持っているわけではありません。 自分で言葉を作ることはできないのです。あくまでも物まねのレベルなのです。